大切なきみへ

「派手にやったわね、まったく

口の横は切れてるし頬からも血が出てるし。」



「「すいません」」




手当てをひと通りしてもらうと、

「じゃあ後は2人で話しなさい。保健室空けとくから

でももう殴り合いはしないようにね?」

と言って先生は保健室を出て行った



そのあとは沈黙が続く。

意外にも先に沈黙を破ったのは山本だった。






「悪かったな」




「なにそんな驚いた顔してんだよ」



驚いて言葉も出ない俺に山本はふっと笑った


「殴るつもりなかったし、殴り返されるとも思ってなかったけど


悪かった。」






「俺も殴ったし


今回だけ許す。」


と言って思いっきり笑って見せた俺に、少しそっぽをむいた山本が


「おう」
とつぶやいた



「蓮、教室行くぞ」



「調子のんな陽希」




馬鹿みたいに痛い頬も我慢できた




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