大切なきみへ
*
「あーやーせー」
「うるせー」
朝からうるせーなほんと
光希はバスでずっと彼女の名前を連呼する。
「なーその〝あやせちゃん″って
可愛いーの?」
「すげー美人っすよ!自慢の彼女なんです」
「うわー信用ならねー」
「だって光希の彼氏だせ」
「この馬鹿叫ぶなよ」
…先輩たちもなんだかんだ食いつくな
「蓮の元カノいるんだろ?」
…は?
「なんで知ってるんですか?」
「なんでもなにも蓮の元カノすげー可愛いって有名だぜ?」
「…可愛いですけど」
「はいはい」
「ヒュー惚気んなよ!」
この人たちすげー元気だよな
「まぁとりあえず今日は勝つぞ!
うちはマネいねーし、顔面偏差値も負けてるんだからバスケは勝とうな」