大切なきみへ






「おはよーございます」


「おはようございます」



すれ違う生徒にあいさつすると、もともと同じクラスだったやつがいた


なつかしいな

この校舎も通学路も、皆も。



…体育館の隣にある弓道場


今日は花華はいんのかな


なんて結局花華のことになる



「すいません、タオルぬらしてきます」


「おー、早く戻ってこいよ」




水道は体育館と弓道場の間にある


「わっすいません!」


「すいません」


俺はぼーっとしていたからか、バスケ部のマネージャーにぶつかってしまった



…ん?

今の声



「…蓮?」


ほらやっぱり

「花華」



「久しぶり…だね」


なんで花華がバスケの練習着を着てるんだよ…?




「…バスケのマネージャーしてんの?」



「うん」



「…
弓道は?」


嫌な予感がする



俺が花華に別れを告げた日、花華が言いかけてたことは


「…できなくなっちゃった」


なんて困った笑みをうかべた


なんでだよと聞こうとした時、
「久下ー」


と昨日聞いた、奏の声がした


「じゃあまたね」

そう言って体育館に走っていく花華を見ながら、

変わってねーななんて思うけど頭はぼーっとして追いつかなかった



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