大切なきみへ
そんな状態で始まった試合
「蓮!」
「おう!」
ドリブルをしながら、相手をよけていきスリーポイントシュートを決めた
「よっしゃ」
「ナイス蓮!」
練習の成果なのか、体は動くし軽い
でもそう思っていたのもつかの間
「奏!」
奏が横をすりぬけてポイントを決めた
「4番マークして下さい!
シュート決められます」
…奏は危険だ
1年で4番をとるところはさすが奏だ
「分かった、蓮!」
すぐ反応した先輩たちは奏をマークしようとするが…足速すぎだろ
また相手のチームにポイントがはいった
「蓮、最初からつっぱしれ」
「はい」
ゴール下からスタートしたボール
スムーズに相手をかわすことができ、ゴールまであと少しの所で
「甘いんじゃない?」
と奏にボールをとられる
くそっ
「絶対渡さねー」
奏からボールを取り戻す
「光希!」
「おう!」
光希にパスを出し、光希がシュートを決めたとき、前半終了を告げるホイッスルが鳴った
*
1ゲーム目、20 - 22 の2点差で勝った
「きっつー」
光希が心底きつそうになげく
…すげーしんどい。
1ゲームでこんなしんどいのは初めてだ
休憩がほんとに待ち遠しいかったな
俺のいた高校はこんな強かったんだななんて思った
タオルで汗を拭きながら、相手のチームを見ると
「っ!」
花華と目があって、すぐそらす
でも結局気になってもう1回彼女を見た
花華は奏と笑いあっていた
…っ
見ないように、また目をそらした