大切なきみへ
ーガチャッ
「何やってんだよ!」
息を切らした三浦くんが私の前に立っていた
「三浦くん…!」
よかった、 もう大丈夫
と思った瞬間私の意識は遠のいた
*
「大丈夫?」
「綾瀬ちゃん!」
綺世ちゃんの手にはいくつも絆創膏が貼られていた
「林先輩は家に帰ったよ、2週間自宅謹慎だって。あとマネージャーは辞めるって。」
そうなんだ
今またさっきのことを思いだして背筋が凍った
「ごめんっね…私っ久下さんが入ってきたとき、またいじめられるかもって…怖くて
矛先が久下さんにっ…むいて安心してて
最初はっ…またいじめられ…るかもっていう恐怖でいじめてた…でもっ蓮に好かれてる久下さんに嫉妬するようになったの
ごめんなさい」
綺世ちゃん…
泣きじゃくりながら話してくれた
綺世ちゃんとほっぺを両手で軽く叩いて
「うん、いいよ
これからよろしくね!」
って笑った
*
「大丈夫?」
三浦くんはまた息をきらしながら保健室に来てくれた
「もう大丈夫!練習終わったの?」
三浦くんは悲しそうに、私の髪の毛を触って
「まぁね。
ごめん行くの遅くなった」
「悪かった」
そして
「え?」
抱きしめられた
「こんなこと言うの不謹慎だけど、無事で良かった」
三浦くんの肩は少し震えていた
それを見ていると涙腺が緩んだ
「また泣いてんじゃん」
「今日は泣く予定じゃなかったのに〜」
「はいはい、ごめんな」