大切なきみへ
「落ち着いた?」
「うん」
三浦くんは安心したような笑顔になって
「美容室予約しといたんだけど」
え!?
行動が早い
「ほんと!ありがとう」
「ほら行くぞ
立てる?」
「大丈夫!
あ!でもバッグ!部室!」
「大丈夫、ここにあるよ」
私のバッグを持ってくれていた右手をひらひらさせた
「さすが〜、持つよ!」
「はいはい」
「あのさ谷村のこと許したわけ」
「俺あいつも自宅謹慎で退部させるべきだと思うんだけど?」
「うーん、許したっていうかね、綺世ちゃんの立場だったら私もそうしちゃってたかもなって
それに!1人でマネージャーはさみしいよ」
すると彼は盛大にためいきをついて、
「なんか能天気っていうか久下だな、やっぱり。ほんとは殴りたいけど」
な、殴り…
「まぁでも久下がいいなら」
って言いながら私のバッグは美容師までずっと持っていてくれた
「いらしゃいませ〜、あら!どうしたのその髪の毛!」
そりゃ美容師さんも驚きますよね、
肩のあたりでがたがたに切れられた髪の毛
なんて説明しよう…
「なんでもないです、似合わせカットで」
と三浦くんが爽やかに笑うと
「わ、分かりましたぁ」
美容師さんの目はハートになっていた