大切なきみへ



あの日から、毎週金曜日がくるにつれどんどん仲良くなっていった



照れ屋で優しい綾瀬くんはわたしの中でだいすきな友達になって。



そして、夏休みに入った真夏の夜

塾の帰り道に




「久下ってさ、好きな人とかいる?」




「いないよ」






「俺、久下のこと好きなんだけど」



たぶん今誰から見てもわたしの口はぽかーんと空いてると思う



まさか、綾瀬くんに言われるなんて


「…ごめんね。

私、今はあんまりそういうこと考えられない」



「…そっか。ごめん、急に。これからも友達としてよろしくな」


辛いはずなのに。綾瀬くんは、爽やかな笑顔を浮かべてそう言った。


ほんとにごめんね、


なんて思いながら告白されたあとに友達としてって言われたのははじめてで、ちょっとびっくりした



「そんな悲しそうな顔すんなって


決めた、もう絶対好きになってもらうから」




照れながらそう言ってくしゃっと笑う



「…覚悟しとく」


「うん」


綾瀬くんがほっとした表情を浮かべて笑う



「じゃあ、また塾で」



「じゃあね」





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