大切なきみへ
大好きなきみへ








1回戦、2回戦…と勝ち進んで、ついに決勝まできた

団体戦でこれたのは、私の教室のなかで私たちのチームだけ


半分試合放棄したいけど…




クラスメートの何人かが応援にきてくれていて、コンディションは最高のまま決勝戦に挑んだ。



「1本目!」


“パンッ”

と鮮やかな音をたてて、先輩が引いた弓は的の中心をつく



「2本目!」


同じように、私が放った弓も、真っ直ぐに少し中心とはずれた場所をついた。


「3本目!」


シュンッと綺麗な音をたてて、先輩の弓も中心をついた。





そして、結果が発表された5時45分、


「すいません、失礼します!」


と、袴のまま試合会場を後にした


ここから空港は、自転車で15分はかかる

…自転車はないから、走るしか
そう思ったとき、




「久下!早く乗れ!」



「三浦くん?」



「蓮のとこだろ?



ほら、早く自転車の後ろに乗って?

…俺が、絶対会わせてやるから」



…試合に見に来てくれていた、三浦くん



「ありがとう」



「ほら、泣くなよ?しっかり捕まんないと落ちるよ?

…間に合わせるから」






溢れる涙が止まらなかった
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