大切なきみへ
大好きなきみへ
*
1回戦、2回戦…と勝ち進んで、ついに決勝まできた
団体戦でこれたのは、私の教室のなかで私たちのチームだけ
半分試合放棄したいけど…
クラスメートの何人かが応援にきてくれていて、コンディションは最高のまま決勝戦に挑んだ。
「1本目!」
“パンッ”
と鮮やかな音をたてて、先輩が引いた弓は的の中心をつく
「2本目!」
同じように、私が放った弓も、真っ直ぐに少し中心とはずれた場所をついた。
「3本目!」
シュンッと綺麗な音をたてて、先輩の弓も中心をついた。
そして、結果が発表された5時45分、
「すいません、失礼します!」
と、袴のまま試合会場を後にした
ここから空港は、自転車で15分はかかる
…自転車はないから、走るしか
そう思ったとき、
「久下!早く乗れ!」
「三浦くん?」
「蓮のとこだろ?
ほら、早く自転車の後ろに乗って?
…俺が、絶対会わせてやるから」
…試合に見に来てくれていた、三浦くん
「ありがとう」
「ほら、泣くなよ?しっかり捕まんないと落ちるよ?
…間に合わせるから」
溢れる涙が止まらなかった