大切なきみへ



「花華…
ごめん、ごめんね」




いつも能天気でにこにこしてるあのお母さんが泣いていた




「え?お母さん…?」





「…お母さんのせいなの、ごめんね」


え?


…どういうこと?






「どうした…の?」




 


「花華、もう弓道できないんだって

…ううん、弓道だけじゃなくて運動が」







…え?





「お母さんがね、体あんまり強くなくて
子供に遺伝してないって安心してたのに…


花華、激しい運動はしたら駄目になった…の」




…頭が、追いつかない


何を言ってるの?







ほんとは“お母さんのせいじゃないよ”って

“大丈夫”って言いたかったのに

言えなくて












気づいたら、車に乗ってて








そして、私とお母さんが車の中で会話することはなかった




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