ゲーム彼氏とオタク彼女
「またせてごめんな、天野」


放課後の、夕焼け色に染まる教室。
さっきまで授業をしていたとは思えないくらいの静かな空間。


「ううん、平気だよ。部活お疲れさま」と言い、タオルを渡す。


「おう。サンキューな」


ほんの少しだけど、タオルを受けとるとき、翔が照れたように見えたのは、気のせい?

「なぁ、天野はさ」


「ん?」

「俺が天野以外の誰かを好きでも恨まないか?」
翔の質問の意味が、よくわかんない。
私以外の誰かを好きでも・・・?


「全然。だって、翔が誰を好きになるかは翔の勝手でしょ?」


私の返事に、「そうか・・・。確かにそうだな」と一人で納得してる翔。
そして、さらにこう続けた。


「これから話すことは、俺と天野だけの秘密。な」


「わかった。約束する」
でも、私と翔だけの秘密かぁ・・・。うーん、一体どんな内容なんだろう。


「・・・・・・俺さ、飯島のことが好きなんだ」



えっ・・・?樹理が?



「ほら、天野って飯島と仲よかったよな?だから、協力してほしくて・・・」


そう。翔は樹理のことが・・・。でも、翔が樹理のことを好きなら、あれは無意味になるんだよねぇ。



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