ゲーム彼氏とオタク彼女
「・・・う・・・」
ポツリと呟く私。
「え?」
「そう・・・。よかったじゃん、樹理と付き合えて」
言っていくうちに、自然と涙がこぼれ落ちた。
「え。飯島と付き合える?というか天野、泣いて・・・」
翔が心配そうに言う。
「俺、天野に相談しなきゃ良かったのかな」
・・・・・・ううん、違うの。翔は悪くないの。
翔の気持ちに気づけなかった、私が悪いの。
「・・・っごめん、私帰るね」
自分の机においてある鞄を手に取り、駆け出した。
「天野・・・」
ごめんね、翔。
ごめんね、樹理。
そして、HAYATOさんも。ごめんなさい。他の人を好きだったなんて、私は彼女、失格だよね。
家に帰る途中、翔の靴箱を見ると作戦通りになっていた。
良かった、これであの二人は幸せになれるよね。
どこでもいい。今すぐ一人になりたかった。
そうだよ、何で今まで気がつかなかったんだろう。
・・・・・・私、失恋したんだ。