シンデレラは恋に臆病
「熱い!」

真優が顔をしかめ悲鳴に近い声を上げる。

俺はとっさに手元にあった水を彼女の太股辺りにかけたが、それだけではダメだと思い彼女を抱き上げた。

「す、すみません」

慌てた店員が頭を下げてペコペコ謝る。

「トイレはどこですか?」

俺の問いに答えたのは店員ではなく、玲司さんだった。

「奥にある」

玲司さんは俺の背後を指差す。

俺は真優を抱き上げたまますぐにトイレに運ぶと水を流して彼女の太股を冷やした。

彼女のスカートが水浸しになるが、気にしてはいられない。

「痛みはある?」

俺が気遣わしげに聞くと真優は苦笑した。
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