シンデレラは恋に臆病
ははっと空元気で笑う。

伊達さんが車を発進させると、沈黙になるのを避けるために私は最近観たアメリカドラマのストーリーを店に着くまで喋り続けた。

「さあ、着いたよ」

伊達さんと車を降りて店に向かう。

そこはレンガ造りのお洒落なイタリアンのお店だった。

高そうなお店。

給料日前で現金の持ち合わせがないんだけど……。

「伊達さん……私、こんな高い店無理です。給料日前でお金ないし……」

「今日は奢るよ。連れて来たのは俺だしね。前に一度俺に奢ってくれただろ?」

伊達さんが私に向かってウィンクする。

『池田屋』の定食とここのディナーでは値段が全然違う。

「でも……」

私が渋っていると、伊達さんは優しい目をして私の背中を押した。
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