シンデレラは恋に臆病
「そういう訳にはいきませんよ」

伊達さんが横に座ってくれてホッとする。

これならそんなに私の表情は見えない。

「普段遠慮なく物を言うくせに、変なことにこだわるんだね」

「自分の立場はちゃんとわきまえてますから」

ニコッと笑って言うが、胸がチクッと痛んだ。

御曹司と結婚なんて……高望みはもうしません。

だから安心して下さい。

次からはもっと身の丈に合った恋をします。

「城野さん?」

私が感傷的になってるのに気づいたのか、伊達さんが私の顔を覗き込む。

……いけない。

涙ぐみそうになってた私は、咄嗟に目の前のメニューを手に取り誤魔化した。

「伊達さん、ここは何が美味しいんでしょうね?」
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