シンデレラは恋に臆病
ずっとこんな風に触れられたのでは落ち着かない。

「車好きの弟が一人いるよ。レーサー目指して今ヨーロッパで修行中。うちのエンジン積んだ車でレースを走るのが夢らしい。城野さんのお兄さんっていくつなの?」

「伊達さんより一つ上ですよ。外交官で自慢の兄です」

「外交官?ひょっとして城野玲司さん?」

私の言葉に伊達さんが驚くが、私も彼の口から兄の名前が出てきて驚いた。

「え?兄を知ってるんですか?」

「高校と大学が一緒だったからね。あの人の妹なら君が優秀なのは当然か。確かTOEICのスコアも900台だったね」

兄と高校と大学が一緒だったんだ。

学生時代の伊達さんに会ってみたかったな。

女子にモテモテだったに違いない。

「私は兄の足元にも及びませんよ。でも……伊達さんも兄と同じ高校出身だったなんて……。私はあの高校の近くにある女子高に通ってたんです。どこかで伊達さんとすれ違ってたかもしれませんね」
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