シンデレラは恋に臆病
シャンパンを一気に飲んだせいか、身体もフワフワしてきて地に足がついている気がしない。

狼狽える私を楽しげに見ながら伊達さんが話をして……食事がくるといつものように互いの頼んだ料理をシェアしながら、まるで恋人のように甘い時間が過ごした。

楽しい気分でレストランを出ると、また伊達さんの車に乗り込む。

「うちでいいよね?」

伊達さんの問いに私は黙って頷く。

酔ってはいなかったけど、どこか夢見心地の自分がいた。

そう、これは夢かもしれない。

さっきの伊達さんのキスも……私の見ている夢に過ぎないのかも。

夢なら……自分に正直になってもいいよね。

一晩でいい……好きな人に抱かれて一緒にいれたらどんなに幸せだろう。

どうせ自分には手の届かない相手なのだ。
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