シンデレラは恋に臆病
今夜……か。

とてもそんな気分にはなれないけど、家に一人でいてもウジウジ伊達さんのことを考えるだけ。

食事だけなら……いいか。

「高橋君、い……‼」

いいよ……って言おうとしたら、今日一番会いたくないあの人の声が耳元で響いた。

「城野さん、昨日、これうちに忘れていったよ」

まるで仕事の書類を置くかのように、伊達さんが私のデスクの上にピアスをそっと置く。

それを見た私と高橋君はギョッとした。

私が忘れていったピアス……どうしてこのタイミングで渡すの?

高橋君に伊達さんの家にいたのがバレるじゃない!

「伊達さんの家に城野さんが?」

高橋君は酷く驚いた顔をして私と伊達さんを交互に見る。
< 48 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop