シンデレラは恋に臆病
伊達さんがスタスタ歩くので、ヒールの靴だと転んで躓きそうだ。

だが、彼は構わず歩く。

ミーティングルームに入ると、私は伊達さんの手を振り払って彼に食ってかかった。

「高橋君のいる前でピアス渡すなんて、何考えてるんですか!彼に誤解されるじゃないですか!」

「誤解じゃなくて、事実だろ?」

伊達さんが氷のような冷たい目で訂正する。

「それよりもこっちの質問に答えてくれないか?どうしてうちとの派遣の契約、更新しなかった?」

もう伊達さんに連絡がいったのか。

動揺するな。

いずれ面と向かって説明しなきゃいけなかったんだから……。

どうか……声が震えませんように。
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