シンデレラは恋に臆病
「自分のキャリアを考えて、もっと英語をバリバリ使うような仕事をしたいんです。残り一ヶ月もしっかり仕事はしますので……ご心配なく」

もっともらしい言い訳を口にする。

「キャリアねえ。だったら、何で泣いてるの?」

伊達さんが急に優しい声になって、私の眼鏡を奪う。

「あっ……眼鏡返して下さい。これは……目にゴミが入ったからです」

手で顔を隠して後ろを向くが、伊達さんに腕を捕まれ振り向かせられた。

「ゴミが入ったくらいでこんなに目は腫れない」

「いや、見ないで……。もう私に構わないで下さい」

これ以上自分のこんな無様な姿は見られたくないのに、伊達さんは私を離してくれなかった。

「どうして俺から逃げようとする?」
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