シンデレラは恋に臆病
金額はそんなに高くはなかったし、まあいいか。

無下に断るのも失礼だろう。

「それはご馳走さま」

俺は笑顔で心から真優に礼を言った。

女に奢られるなんて、初めての経験だったかもしれない。

それだけに印象深くて、その後も会社にいる時は彼女を目で追った。

上司として彼女の仕事ぶりを見る……そのつもりだったが、俺は完全に恋愛対象として彼女を見ていたらしい。

その後も週に一度は彼女を食事に誘った。

仕事の話もしたが、単純に彼女との時間を楽しんでいたんだ、俺は。

営業が彼女のデスクに集まるのを見るのは面白くなかった。

仕事が目的の奴もいるが、下心があって真優に近づく営業もいる。
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