シンデレラは恋に臆病
次の日目が覚めると、真優は俺の腕の中ですやすやと眠っていた。

彼女の寝顔を見てホッとする。

今日はちゃんと俺の腕の中にいる。

化粧をしてないと彼女はかなり幼く見えた。

シミ一つない綺麗な肌に、人形のように長いまつ毛。

このまま寝顔を見守っていたい。

だが、今日はいろいろ予定が詰まってるんだよなあ。

壁時計にチラリと目を向ければ、午前九時過ぎ。

「真優、そろそろ起きようか」

優しく声をかけて真優にそっと口づける。

「う……ん。……もうちょっと寝たい。お兄ちゃん、あと五分」

真優は寝ぼけているのかそう言って頭から布団を被る。

『お兄ちゃん』?

兄妹の仲が良いのはわかるが、真優の兄と間違われていい気はしない。

しかも、キスの後に兄と間違われるってタイミング的には最悪だ。
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