シンデレラは恋に臆病
これはお仕置きだろう。

兄と恋人の違いをはっきり教えてやらないと……。

真優から布団を剥がし、彼女の両腕を押さえて組み敷くと、彼女の鼻をカプッと噛んだ。

「きゃっ!お兄ちゃん……ふざけるのもいい加減にして!」

真優が怒りながら目を開ける。

だが、俺と目が合うと「あっ……」と声を出して、ばつの悪そうな顔をした。

「誰が『お兄ちゃん』かな?」

「それはですね……人の家に泊まり慣れてないから実家と思っちゃったみたいで……」

ハハッと真優が乾いた笑いを浮かべる。

「で、お兄さんと間違えたって?」

「……昔よく兄が私の部屋に起こしに来てくれて」

「それは優しいお兄さんだね。でも……ベッドで『お兄ちゃん』て聞くのは嬉しくないな」
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