シンデレラは恋に臆病
「だ……じゃなかった。涼介さん、スマホ鳴ってますよ」

「ああ」

真優に言われテーブルの上のスマホを手に取ると、母からの電話だった。

『涼ちゃん、いつ来るの?お父さんと待ってるんだけど』

……あっ、お仕置きに夢中で実家に帰ることすっかり忘れてた。

「悪い。今日はちょっと立て込んでて。明日に延期したいんだけど」

真優に聞こえないように声を潜めて母に謝ると、彼女はハーッと軽く溜め息をついた。

『仕方ないわね。明日はすっぽかさないでよ』

「ああ。ごめん」

『彼女によろしくね』

意味ありげにフフっと笑うと、母は電話を切った。

まるで真優がここにいるのを知っているかのような口調。
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