シンデレラは恋に臆病
妹のスマホに男が出るんだ。

きっと驚いているのだろう。

しかも、それが後輩の俺で妹の恋人と名乗っている。

『久しぶりだな、涼介。……そう言えば真優の派遣先、お前の会社だったな』

落ち着いた声音。

だが、その声には殺気が宿っているような気がするのは気のせいだろうか。

何だかぞぞっと寒気がする。

「ええ。真優が玲司さんの妹と知った時は驚きましたよ」

『真優……か。銀座の『上海大飯店』知ってるか?』

「ええ。今いる場所から近いですよ」

『俺の名前で予約しておくから、真優を連れてきてくれ』

「わかりました」

俺の返事を最後まで聞かずに玲司さんがブチッと電話を切る。

この電話の切り方、かなり怒っているな。
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