シンデレラは恋に臆病
玲司さんがレンゲの上に小籠包を乗せフーフーして冷ますと、真優の口まで運ぶ。

当然のようにそれをパクッと口にする真優。

「う~ん、美味しい」

真優が満足そうに頬を緩める。

そのやり取りを見て俺は呆気に取られた。

兄妹で普通ここまでするか?

弟しかいない俺には二人の行動が理解出来ない。

少しムスッとしながら二人を見ていると、俺の視線に気づいたのか玲司さんが言った。

「真優は猫舌なんだ」

さも俺の方が真優を知っていると言いたげな口調。

高校時代は他人にも自分にも厳しいイメージの人だったが、ここまで妹に甘いとは思わなかった。

これは……俺を認めてもらうのはかなり難しいな。

俺の前に立ちはだかる高い壁。
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