食わずぎらいがなおったら。-男の事情-



健太と3人で射的やって、屋台で色々買って食った。

こぼすなとか口うるさく言ってるけど、甥っ子を猛烈にかわいがってるのがわかる。

「子供好き? そうかなぁ。健太とみのりはうちの子だからかわいいけど」

香さんは言いながら首をかしげる。前の彼氏にもこういう世話するとこ見せたからプロポーズされたんじゃないの。

子供好きか。男好きするポイントやたら押さえてるよなあ、ほんと。




バス停まで歩きながら「平内、私の弟に見えるかな」とかふざけたこと言ってるから、また手をつないで、健太と3人で親子だろって言ってやる。

「わかってないな」

って笑いながら言ってる。俺の真似してるつもりか?

「どっちが」

ふてくされた声になったけど、香さんはまだ機嫌よく笑ってる。

わかってないな、ほんと。俺がなんでさっきイラついてたのか、よくわかってないんだろ? 弟になんか見えてたまるか。




健太が俺の腕につかまってくる。

「タケル、あしたアスレチックいっしょにいこうよ」

「俺明日起きれなそう」

飲まされるだろうな、戻ったら。




「ああなったらどこまでも飲むんだよ」

「いいね、地元って感じする」

原因作った本人はそうとは知らず楽しそうだ。ほんと鈍いよなあ。





まあ手はつないだままで嫌がらないし、そろそろ脈がなくもないかな。

よくわかんねえな、この人。
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