食わずぎらいがなおったら。-男の事情-
振り回されて我慢させられた分、思う存分食うことにした。

こないだも思ったけど、相性がいい。キスもうまいし、多少強引に行っても素直に反応する身体だし。思った通り特に耳が弱い。いいかげん寝ようと思ったけど、やっぱり夜も我慢できずにまた抱いた。





朝になったら、また先に起きて着替えてる。ちゃんとしてるよなあ、休みの日まで早く起きる必要あるのか?

「香さん、俺コーヒー飲みたい」

まだ眠い頭のまま後ろから声をかけたら、驚いたように振り返った。なんだ?

「香って呼ぶことにしたのかと思って。昨日そう呼んでた」

え。あ、夜ね。そういうの蒸し返すかここで? 素で驚くとか反則だろ。

「呼んで欲しいなら、呼ぶけど」

くそ。抱き寄せてごまかしたけど、うろたえたのがばれた。



「私もタケルって呼ぼうかな。でもなんかあんまり変わんないね、そっちは」

なに余裕見せてんだよ。年上だからって調子に乗るなよ?



「香、コーヒー入れて」

唇をかすらせるようにして耳元で囁く。ほらな、赤くなった。

顎をつかんで上を向かせて、赤い頰をじっくり眺めてやる。

俺と張り合おうなんて10年早いよ。





またごちゃごちゃ考え出さないように、真奈ちゃんのことも話がついてるって教えとく。

腹立つから、1回だけって言われてそれで終わってるってぼかして伝えてみたら、いきなり目が泳いで動揺した。

「なんもしてないよ。なんだよ、その顔。自分でけしかけといてさあ、ほんとわかってないよね」

わざとうんざりした口調で言ってみる。

口尖らせてなんか言ってるけど、ほっとしたらしい。

他は食いたくないって言ってるのに、わかってないな本当に。




女の子に執着しないタイプだと思ってたんだけどね、自分では。

この人が特別なのか、俺も落ち着いてきたってことなのか、ほんとに他はいらねえって思ってるよ。




連休は何日か休めたから、香と2人で遊んだり、大学の時の友達と集まるのに連れてったり、近場でダラダラ過ごした。

久しぶりだな、こういうのんびりした時間。

地元の奴らに報告したら、よくやった、そのまま子供作れ、とか言われて、結局潰れるまで飲まされた。

なんなんだよ。
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