あの夏に僕がここへ来た理由
「働きたいです。
僕みたいな男でも雇ってくれるのなら」
「でも、もうひとつだけ約束してほしい。
ひまわりとは、もう二度と会わないこと。
ひまわりも夏休みが終われば、東京に帰らなきゃならないのは分かってるだろ。
どっちみち、別れなきゃならないんだ。
あんたも自分で稼いで生活していくうちに、記憶が戻るかもしれないし」
海人はひまわりに会えなくなるとは夢にも思っていなかった。
しかし、僕達には、いつか、必ず別れがやってくる。
その懸念は、いつも僕を苦しめる・・・
「僕をそこに紹介して下さい」
海人は一生懸命働いて一人前になったら、必ずひまわりを迎えに行くと心に誓った。
それをひまわりに伝えればきっと分かってくれるはず・・・
「じゃ、今から車で行こう。
俺は車で待ってるから。
支度ができたら出発しよう」