あの夏に僕がここへ来た理由
「ごめん、連れて来れなかった」
車から降りてきた良平は、ひまわりに向かってそう言った。
「海人さんは、家にいるの?」
「うん」
良平はそれだけ言うと、浩太を捕まえて砂浜へ向かって歩き始めた。
そして、思い出したように振り向いて言った。
「バーベキューが終わったら連れて帰るって、あいつに言ってあるから」
ひまわりは、少しホッとして頷いた。
「それにしても、お兄ちゃん、何でこんなに時間がかかったんだろう?」
さくらはひとり言のように呟いて、向こうへ走って行った。
四人はバーベキューを終え、テーブルに散らかった紙皿などの片づけをしていた。
ひまわりは、良平があまり自分を見ない事に気づいていた。
今も隣で一緒に片づけをしているのに、良平はひまわりの顔を見ようともしない。