あの夏に僕がここへ来た理由



「良ちゃん、ごめんね。
昼間のこと怒ってるんでしょ?」


良平はそれでもひまわりと目を合わせない。


「いいよ。
もう、怒ってなんかないよ・・・

それより、俺の方こそ、ごめん・・・」


ひまわりは何に対してのごめんなのか分からなかったが、何も言わずに微笑んだ。



帰りの車は、四人でAKB48の歌で盛り上がった。
浩太はバンドを組んでボーカルをしているらしく、抜群の歌唱力で皆を驚かせた。


ひまわりは家に着いた途端、再び嫌な予感がして慌てて車から飛び出した。
すると、良平も出てきて、ひまわりの腕を掴みこう言った。


「ひま、あいつは、もうここにはいないんだ」



「なんで?」


ひまわりは叫んで聞いた。


「あいつは、働くためにここから出て行ったんだ」








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