あの夏に僕がここへ来た理由
ひまわりは、正直にさくらに話した。
変わってしまった自分をさらけ出すのは、少し恥ずかしかったけれど。
「分かった。
じゃ、今日は、のんびりしようっと」
さくらはそう言うと、ソファに横になり目を閉じた。
正午になり、一層、蝉の声が甲高く聞こえる。
海人が寝泊まりしていた客間の窓を開けたままにしていたため、蝉の声が響いていた。
ひまわりはその部屋の窓を閉め、しばらくそこでくつろいだ。
この部屋で、海人は何を考えていたのだろう。
過去の自分と未来の自分に折り合いをつけることができずに、苦しんでいたのかもしれない。
私は彼のことを何も分かっていなかったし、分かろうともしていなかった。
この部屋で、彼はどれ程の孤独を感じていたのだろうか。
海人がいなくなった今、ようやく気づくなんて・・・
ひまわりは自分の愚かさに腹が立ち、ただただ、悲しかった。