あの夏に僕がここへ来た理由
それぞれの生活
僕は、ここへ来てから、毎日同じ夢を見る。
ひまわりが、部屋の隅で膝を丸めて泣いている。
僕は自分がどこにいるのか分からないまま、彼女の名前をずっと叫んでいる。
「泣かないで、ひまわり・・・」
海人のここでの生活は、毎日がとても忙しかった。
宿泊客も日に日に増えサチは食事の準備に追われるために、海人はその他の雑用を全部引き受けた。
朝から海水浴に行く人達が多いために、朝の8時が過ぎる頃には民宿はガランとしていた。
海人は休む間もなく仕事にとりかかると、サチが僕を呼びとめた。
「ちょっと、休憩にしようか。
お客さんに美味しい水ようかんをもらったから、一緒に食べよう」
サチはそう言うと、テーブルに座り水ようかんを2つ並べて置いた。