あの夏に僕がここへ来た理由
「ありがとうございます」
海人はそう言ってサチの隣に座った。
冷えた水ようかんは、本当に美味しかった。
「食べさせ甲斐のある子だね」
サチは笑いながらそう言って、エプロンのポケットから封筒を取り出し海人に渡した。
「これは、何ですか?」
「この3日間、よく働いてくれたから3日分のお給金だよ。
手持ちのお金がないんだろ?
これは自分で働いて手にしたお金なんだから、何でも好きな物を買ってくればいいよ」
サチはそう言うと、水ようかんの空容器をゴミ箱に捨てた。
「本当にいいんですか?
たった3日間しか働いてないのに・・・
本当に・・・ありがとうございます」
海人はそう言って深々と頭を下げた。