あの夏に僕がここへ来た理由
ひまわりは、もう一度海人の表情を見て悟ってしまった。
もしかしたら記憶をなくしてしまっているのかもしれない。
前にテレビで見たことがある。
着の身着のままで放浪している人がいた。
ある日突然記憶が消える。
名前も生年月日も故郷さえも。
自分のルーツを思い出せず施設に身を寄せている人もいた。
そんな・・・可愛そう・・
「2014年です。
大丈夫ですか?」
恋愛には奥手のはずのひまわりはこのどこから来たかも分からない男の人を放っておけなかった。
ひまわりは自分の中で新しい発見をした。
自分に持ち合わせているなんて思ってもいなかった保護本能が、ゆっくりとむっくりと目を覚ましたから。