あの夏に僕がここへ来た理由
「2014年?」
海人は大きな声で聞き返した。
僕が硫黄島で戦火にさらされていたのは確か1944年だ。
とすると、70年先の未来に僕はやって来た?
なぜ? どうやって?
海人は何度も自分の記憶を辿ってみた。
硫黄島の戦場にいたのが夢なのかこの未来にやってきた今が夢なのか、何度考えても答えがでない。
「あー、いや、えー?」
混乱している海人にひまわりが優しく聞いてきた。
「もしかして記憶をなくしてる?」
「記憶?」
むしろそうでありたい。
「でも、名前は言えたから重症ってわけではないのかも・・」
海人は改めてこのひまわりという女性をじっと見つめた。
夕方から夜に変わる一日の中で一番美しい時間が、まるで彼女を引きたてるために現れたと思わせるくらいにひまわりはとても美しい人だった。