あの夏に僕がここへ来た理由
「そうなんだ・・・
じゃ、もうすぐ切れるかもしれないから、何か伝えることはある?」
海人が焦ってそう言うと、ひまわりは黙ってしまった。
「ひまわり?」
海人が問いかけると、彼女は小さな声でこう言った。
「会いたい・・・」
「僕も、会いたいよ。でも」
そう言いかけると、非情にも電話は切れてしまった。
海人は慌ててかけ直そうと思ったが、手持ちのお金はあと数百円しかない。
海人は、目の前にあるバス停の時刻表を見た。
最終バスは5分後にやって来る。
ひまわりに会いたい・・・
その気持ちが海人をどんどん追いつめる。
右往左往している内に、バスが見えてきた。
海人は何も考えずにバスに乗り込んだ。
もう、ひまわりのことしか頭になかった。