あの夏に僕がここへ来た理由
海人からまた電話がかかってくるかもしれないと、ずっと胸ポケットに入れていた携帯も充電するためにリビングに置いた。
すると、遠くから誰かが歩いてくる音が、かすかに聞こえた。
ひまわりは玄関の鍵を閉めたことを確認し、他の窓の鍵がかかっているかも急いで見て回った。
その時、カーテン越しに海人の姿が見えた。
ひまわりは会いたい気持ちが強すぎて幻影を見たのかと思い、もう一度そろりとカーテンの隙間から外を覗いてみた。
「海人さん?」
ひまわりは半信半疑のまま玄関から飛び出した。
そして、そこには、はにかんだ海人が立っていた。
「ごめん、来ちゃった・・・
帰るバスはないのにさ。
どうかしてるよ、全く・・・」