あの夏に僕がここへ来た理由
時間は確実に流れている。
いつの間にか夕焼けが橙から紫に変わっていた。
必死に声を殺しのどをつまらせて泣く海人の姿はあまりに切なすぎた。
ひまわりはもう一度大きく手を上げて深呼吸をした。
悲しみが吐息と一緒に出ていくような気がするから・・・
下をうつむいていた海人は、ひまわりの動きを見てちょっと笑った。
「深呼吸をするとすっきりするんです」
「そうなんですね」
そう言うと、海人も大きく深呼吸をした。
胸一杯にたくさんの空気を吸い込んで大きく吐き出した。
そして、海人は満面の笑みを浮かべてひまわりを見た。
この人は僕に不思議な力を与えてくれる・・・