あの夏に僕がここへ来た理由
ひまわりは、これ以上、海人の苦しむ姿は見たくはなかった。
「分かった。
私は海人さんが早く元気になってくれるだけでいいの。
話したくなければ、話さなくても全然構わない。
私は海人さんが側にいてくれるだけで、それだけでいいんだから・・・」
海人は困ったように微笑んだ。
この時のひまわりは、海人のこの表情の理由を想像することすらできなかった。
「明後日、この近くで花火大会があるって聞いたんだけど、一緒に行こうか?」
「行きたい。
でも、仕事は大丈夫?」
ひまわりは嬉しくて子供のようにはしゃいだ。
「サチさんに聞いてみるよ。
また、今日の夜に電話する」