あの夏に僕がここへ来た理由
消息
「サチさん、海人さんが・・・
急に、いなくなって・・・
ずっと捜し回ったんだけど、どこにもいなくて・・・」
ひまわりはそう言いながら、民宿の玄関先にしゃがみこんでしまった。
「海人さん、熱があって、顔が真っ青で・・・
私、冷たいお茶と氷をもらいにお店に行って、戻ってみたら・・・
海人さん、いなくなってたんです・・・」
ひまわりはこれ以上は話せなかった。
海人がいなくなった?
消えた?
ひまわりは溢れる涙を抑えることができず、サチの手を握りながら子供のように泣きじゃくった。
「海人さんは、私が初めて愛した人なんです・・・
海人さんも、そう言ってくれた・・・
サチさん、いなくなったなんて嘘ですよね・・・
嘘だと言ってください・・・」
サチは、ずっと黙っていた。
そして泣きやみそうにないひまわりに向かってこう聞いてきた。
「海人君は、何て言ってかい?
今日、ひまわりちゃんに、大切な話をするって言ってたから・・・
私に話してごらん・・・」