あの夏に僕がここへ来た理由



「そんなこと言われても・・・

もう、海人さんはいないのに・・・」


ひまわりはタオルで顔を覆いながら、声を殺して泣いた。


「実は、最後のでっかい花火が上がった時、海人君がここへ来たんだ・・・
私は食堂の窓から花火を眺めていたら、一番奥のテーブルの横に立ってた・・・

ぼんやりとしか見えなかったけど、にっこり笑って、ありがとうって言ってたよ・・・

それで私は、ひまわりちゃんが心配で、ずっと外で待ってたんだよ・・・」


そう言いながら、サチも泣いていた。


「ひまわりちゃん、海人君はもっと大事なことを伝えたはずだよ・・・

その言葉をしっかり胸に刻んで、頑張って生きていかなきゃいけないよ・・・」


もっと大事な言葉?



「僕は、絶対に君を捜し出すよ・・・」






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