あの夏に僕がここへ来た理由



「だから、ひまわりちゃんは前を向いて、幸せにならなきゃだめだ・・・

後ろばかりを振り返ってちゃ、幸せにはなれない・・・

海人君ができなかったことを、結婚して、子供を産んで、長生きをする、ひまわりちゃんが幸せになることが、海人君への供養にもなるんだよ」


だけど、私の幸せは、海人の存在全てだった。


「海人さんを、忘れた方がいいんですか?」



「忘れることなんてできないのは分かってる・・・

きっと、死ぬまで忘れられないはずだよ・・・

でも、ひまわりちゃんはまだ若いんだから。
これからの出逢いを大事にしなきゃ。

忘れる努力をするんだよ・・・
海人君は、心の奥底に大切にしまいこむ・・・

多くの人間は、一番に好きな人とは中々結ばれないものなんだから」



忘れるということ・・・
そんなことができるのだろうか・・・
あの時、海人が言ってくれたあの言葉さえも、心の奥底に沈めなきゃならないの?




「絶対に、ひまわりを見つけるから・・・」





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