あの夏に僕がここへ来た理由
ひまわりは海人と別れてからずっと早歩きで帰った。
ほっといて帰っていいの?と心配する自分と関わっちゃダメと突き放す自分が、頭の中で言い合いをしてる。
国道の交差する三叉路で信号待ちをしている時に、ひまわりはやっと自分の気持ちに素直になれた。
気になってしょうがない・・・
ひまわりにとってそれは記憶喪失かもしれない海人を案じての気持ちなのか、海人の屈託のない笑顔が忘れられないだけなのか、考えても考えても出てくる答は一つしかない。
ただもう一度会いたい・・・
まだ、あの公園にいればよいのだけれど。
ひまわりは焦る気持ちを抑えながらただひたすら走った。
小さい時から走るのは大の苦手なはずなのに、1分でも1秒でも早くあの公園に戻りたかった。
私が守ってあげる・・・
なぜだか分からないけれど心の底からそう思えるの。