あの夏に僕がここへ来た理由
もうこれ以上海人を思っても、彼が戻ってくることはない・・・
海人との出会いから7年目の夏が過ぎた頃、ひまわりはやっと二人の思い出を、心の奥のひきだしにしまえそうな気がした。
忘れるわけではない・・・
忘れることなんてできないのだから・・・
でも、もう、海人が私を自由にしたがっている・・・
不思議とそう思えるようになっていた。
そして、ひまわりが仕事を辞めた理由の一つに、祖父母の家を売却することがあった。
好子とひまわりは、管理の負担の大きさからその家を泣く泣く手放すことにした。
ひまわりは、祖父母の荷物がまだ置いてあるあの家の片づけのために、しばらく帰ることにしたのだ。
一つの大きな区切りとして、ひまわりは海人との思い出の詰まったあの家に別れを告げることにした。
前を向いて進むには一つ一つ整理をすること、それが、今のひまわりには必要だった。