あの夏に僕がここへ来た理由



ひまわりは、頑張った甲斐があって引っ越し業者の人達が来るまでに、何とか荷物をまとめることができた。

そして、最後に雑巾がけをするつもりでひまわりは、お風呂場でバケツに水をくんでいた。


「すみませ~ん」


え? もう来ちゃった?


ひまわりは慌てて玄関へ走って行くと、そこにはサラリーマン風の男の人が立っていた。


「すみません、佐々木さんのお宅ですか?」



「はい、そうなんですが、佐々木は、祖父は、だいぶ前に亡くなってもうここには居ないんです・・・

あ、私は孫娘になるんですけど・・・

何かご用でしょうか?」


その人は、よくよく見たらまだ若った。

髪はちょっとボサボサで、眼鏡をかけている。
そして、営業マンにしては、キョロキョロして落ち着きがなかった。





< 216 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop