あの夏に僕がここへ来た理由
「僕は、小学4年の時に、1年だけこの近くに住んでいました。
その頃の僕は半年前に母を亡くして、父は仕事でシンガポールへ行くことになって、父方の叔母の家に預けられたんです。
それで、僕は極度にふさぎ込んでいて友達も全然できず、一人で海ばかり眺めていたら、そんな時に、おじいさんが僕を見つけてくれて・・・
それからは、毎日学校が終わったら、ここに遊びにきてました」
「そうなんですね・・・」
ひまわりは、祖父からこんな話は聞いたことがなかった。
でも、彼の顔を見ていたら嘘をついているようには思えない。
「ひまわりさんの話もたくさん聞きました。
あ、ごめんなさい・・・
ひまわりさんですよね?」
「はい、ひまわりです・・・」
ひまわりは戸惑いを隠せずに、小さな声でそう答えた。