あの夏に僕がここへ来た理由



「おじいさんは、僕に、ひまわりさんの写真をたくさん見せてくれました。
僕より一つ年下のひまわりさんは、本当に可愛かった・・・

でも、僕がここにいた年に、ひまわりさんはここへ帰省しなかったんですよね・・・

夏休みは家族で旅行するということで、冬休みはインフルエンザになったみたいで・・・」



「あ、思い出しました。

それで、その年は春休みに祖父達が東京に遊びにきたんです」


毎年必ず帰省する好子とひまわりが、唯一、帰れなかった年だった。


「僕は、子供ながらにひまわりさんに会うのをとても楽しみにしていたので、がっかりしたのを覚えてます」


ひまわりは彼の話を聞きながら、子供の頃を思い出していた。


「そして、1年が経った時に、父が僕を迎えにきました。

たったの1年だったけど、僕はおじいさんとの出逢いで強くなることができたんです。
本当に感謝の言葉をいくら並べても足りないくらい・・・

それと・・・

ほんとは・・・」


ひまわりは祖父の事をこんなに思ってくれている彼に、感激していた。








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