あの夏に僕がここへ来た理由
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・」
ひまわりがやっと階段を上り終えて前を向くと、そこにはびしょ濡れの海人が立っていた。
「よかった。
まだここにいてくれて。
・・・ハァ、ハァ・・・」
ひまわりはとうとう座り込んでしまっていた。
「大丈夫ですか?」
走り寄って手を差し伸べてくれた海人は顔を洗ったせいかひまわりには別人のように見えた。
「僕を心配して戻ってきてくれたんですね」
海人はひまわりをベンチまで運んでくれた。
濡れた雫が海人の丸刈りの頭からポトポトと垂れている。
公園の灯りによって照らし出された海人の顔は、ただただ美しかった・・・
ひまわりは高鳴る鼓動にとまどいながらとうとう言ってしまった。
「よかったら家に来ませんか?」