あの夏に僕がここへ来た理由



「本当は?」


ひまわりがそう問い返すと、彼は初めてひまわりの目を見てくれた。


「本当は・・・

僕はおじいさんから聞くひまわりさんの話と写真で、あなたに恋してました・・・
結局、会えずじまいで、僕はシンガポールへ行くことになったんだけど・・・
あ、今でも父はそこに住んでいます。

実は、僕の初恋でした。
シンガポールに行ってからもおじいさんとは手紙のやりとりをして、さりげなくあなたの事を聞いたりしてました・・・

そして、僕が高校3年の冬に久しぶりに日本に帰ってきて、この家を訪ねたことがあるんです。
その時は、たぶん、ひまわりさんのお母さんがいらっしゃって、おじいさんが亡くなったことを聞きました。

僕は、泣きながらシンガポールへ帰ったのを覚えてます」



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