あの夏に僕がここへ来た理由



「そうなんですね・・・」


ひまわりは、彼の話を聞きながら泣きそうになっていた。


「僕は、それでも、ひまわりさんに会いたいとずっと思ってました。

東京に住んでいるのは分かってたけど、中々、行くことがなかったし、住所も分からなかった・・・」


その時、ひまわりは、突然、海人を思い出した。
海人は、ひまわりを絶対に捜し出すと言ってくれた。


「私を捜してくれたんですか?」


ひまわりは半信半疑で聞いてみた。


「はい。
でも、僕とひまわりさんを結んでいるものは、おじいさんとこの家しかなかったんです・・・

だから、日本に帰ってくるたびにここへ足を運びました・・・
でも、中々、会えなかった・・・」


ひまわりは、もう一度、彼の顔を覗き込んだ。

眼鏡のせいでよく分からなかったけれど、そこには優しそうな笑顔があった。





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